スポーツを楽しむためにも上達するためにも眼が重要だと言うことに異論を挟む方は殆どいないでしょう。極めて高速の物体の位置、速度、方角を認識し、奥行き感を把握しつつ対象物をとらえ、脳で情報を処理して物体の位置を予測、あるいは身体の調整を決定し、最終的に脳の判断に沿うように身体運動をコントロールする一連の流れは極めて複雑です。
見ることに関心を持つきっかけとしてスポーツは入りやすいものですが、そこで出会うことは見るとは何か、見えるとは何か、見えた情報はいかに処理されているかなどのことです。これはすなわち認知の分野であり、医学、生理学、大脳生理学、心理学、心理物理学など多領域での研究が行われています。
現在の「スポーツと視覚」との関係についての認識は定まっているというよりもむしろ混沌としている状況で、現場のアスリートや指導者にも混乱が起こっています。この会は様々な分野の方々に門戸を開き、多くの考え方や研究をされている方々と科学的な「スポーツと視覚」との関係を検討することと、アスリートに対して正しい知識の啓蒙を行うことを目的として作られました。
自由な雰囲気の中で学んでいき、より確かな「スポーツと視覚」の知識の情報を、世の中へ発信できることを願っています。
日本スポーツ視覚研究会
代表 松原 正男
事務局より
研究会の会員は眼科専門医、視能訓練士、大学眼科教授、視覚心理学者、体育関係者、各種スポーツ団体のトレーナー、国立スポーツ科学センター研究員など様々な分野の専門家の方々です。
このような専門家の先生方がそれぞれの見地から、スポーツと視覚についての活発な意見交換を行っています。
研究会にご興味のある方、参加を希望する方は、事務局のえだがわ眼科クリニックにご連絡ください。
過去の研究会
・第1回 2004年11月13日(土)東京 Sun-mi高松
演題1 原 直人 神奈川歯科大学眼科教授
3Dスポーツビジョントレーニング機器の欠点について
・第2回 2008年10月23日(木)東京 Sun-mi高松
演題1 松原正男 東京女子医大東医療センター眼科教授
スポーツと眼
演題2 原 直人 神奈川歯科大学眼科教授
スポーツビジョンからみた近点反応の適応
・第3回 2010年5月15日 国立スポーツ科学センター・カンファレンスルームA
演題1 森周司 九州大学大学院システム情報科学研究院情報学部知能科学講座教授
スポーツにおける視覚 -認知科学の立場からー
演題2 田嶋幸三 日本サッカー協会専務理事
サッカーにおけるスポーツ視覚の重要性
・第4回 2012年 8月25日 国立スポーツ科学センター・カンファレンスルームA
演題1 仲泊 聡 国立障害者リハビリテーションセンター病院 第二診療部長
視覚情報処理の3大経路
演題2 田上雄一 神戸百年記念病院眼科医師
日本のプロ野球選手102名の屈折・動体視力・および利き目に関する研究
演題3 オークリー・ジャパン
スポーツサングラスの重要性について
・第5回 2013年8月24日 国立スポーツ科学センター・カンファレンスルームA
演題1 樋口 貴広 首都大学東京人間健康科学研究科 准教授
移動行動の視覚運動制御
演題2 トビーテクノロジー・ジャパン株式会社
眼球運動測定機器の説明
演題3 原直人 神奈川歯科大学付属横浜クリニック 眼科学教授
近見反応からスポーツにおける奥行き知覚を考える
・第6回 2014年8月23日 国立スポーツ科学センター・カンファレンスルームA
演題1 新井田孝裕 国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科長・教授
眼優位性(利き眼、優位眼)の機能的役割
演題2 山田光穂 東海大学情報通信学部情報メディア学科教授
眼球運動と人の行動解析
演題3 中本浩揮 鹿屋体育大学体育学部・講師
動きを「みる」の熟達
・第7回 2015年8月22日 国立スポーツ科学センターカンファレンスルームA
講演1 半田 知也 北里大学医療衛生学部視覚機能療法学准教授
利き眼の整え方―視能矯正学的アプローチ
講演2 加藤 貴昭 慶応義塾大学環境情報学部准教授
熟練者スポーツ競技者の眼球運動
・第8回 2016年8月27日 国立スポーツ科学センターカンファレンスルームA
講演1 川守田 拓志北里大学医療衛生学部視覚機能療法学准教授
眼球光学特性から考えるスポーツ視覚
講演2 國分雅大 筑波大学体育系助教
運動パフォーマンスの遂行における両眼眼球運動の貢献
演題1 緒方貴浩 帝京大学医療技術部スポーツ医療学科助教
サービスコース予測事態における知覚と行為の結合に関する検討
演題2 菅沼美由起他 東海大学大学院情報通信学研究科
野球における新たな視線測定の提案
演題3 庄司治子他 北里大学院医療系研究科視覚情報科学
タブレット型視能訓練装置による眼優位性の変化について
ミニシンポジウム 「サッカーレフェリーのフィジカルと視覚」
山岸貴司 日本サッカー協会レフェリーフィジカルコーチ
・第9回 2017年8月26日(土)国立スポーツ科学センター カンファレンスルームA・B
講演1 石川 均 北里大学医療衛生学部教授
スポーツ視覚研究と瞳孔
講演2 小野 誠司 筑波大学体育系准教授
動きを見るための眼球運動系の特性と機能
講演3 福原 和伸 首都大学東京人間健康科学研究科ヘルスプロモーションサイエンス学域助教
バーチャル環境を利用した競技者の知覚・認知スキルの解明
演題1 針山朋泰 慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科
自動車のカーブ走行時における視覚探索活動
演題2 江塚彩芽他 国際医療福祉大学病院眼科・保健医療学部視機能療法学科
ラジオ体操による瞳孔と心拍変動への影響
・第10回 2018年8月26日(日) 東京都医師会館
演題1.東海大学医学部基礎医学系 准教授 加藤 明
『眼』で診る脳 ―前庭動眼反射を中心に
演題2.国立障害者リハビリテーションセンター病院
第二診療部長 清水 朋美
視覚障がい者スポーツをみんなで楽しもう!
演題3.帝京大学 文学部 心理学科教授 早川友恵
視覚注意とその抑制における前頭葉の役割
演題4.NTTコミュニケーション科学基礎研究所
上席特別研究員・人間情報研究部部長
東京工業大学工学院情報通信系特任教授 柏野牧夫
一流打者の視覚運動情報処理を探る
・第11回 2019年8月24日(土) 東京都医師会館
演題1.NTTコミュニケーション科学基礎研究所・NTTフェロー 柏野牧夫
トップ選手におけるバッティング時の眼球運動と身体運動の協調
演題2.大阪大学 全学教育推進機構・大学院医学系研究科・大学院生命機能 研究科教授 七五三木聰
球技スポーツに寄与する視覚機能の特性.役割.神経機構
演題3.慶応義塾大学 環境情報学部准教授 加藤貴昭
eSports競技者の視覚探索活動
演題4.首都大学東京 人間健康科学研究科教授 樋口貴広
視覚行動の視覚運動制御
・第12回 2021年12月12日(日) WEB
演題1.国際医療福祉大学熱海病院眼科 後関利明
外眼筋及び外眼筋支持組織の異常とスポーツ視覚
演題2.NTTコミュニケーション科学基礎研究所主任研究員 丸谷和史
複数視覚能力を簡易的に測定するテストセット
・第13回 2022年8月27日(土) WEB
演題1.ほしな眼科クリニック 保科幸次
「阪神タイガースの現役選手時代に脳腫瘍を経験した横田慎太郎さんを紹介します」
演題2.兵庫医科大学 眼科学講座 木村亜紀子
「スポーツ選手にも生じる複視」
演題3.公益社団法人日本ライフル射撃協会 常務理事 選手強化委員長 佐橋朋木
「アスリートセンタードとライフル射撃」