子供の目・赤ちゃんの目

子供の目の健康を育てる

1)子どもの目はナイーブです

ひどい遠視や乱視のある小学校低学年の子どもは、風景や物の形が脳へしっかりと伝わらないために、脳のなかの見る部分が育ちません。そのため斜視や弱視になることがあります。

またさまざまなストレスや目のけがで眼帯をしたりすると視力が低下することもあります。子どもの目は発達段階で、とてもナイーブです。さまざまな環境や精神状態から影響を受けやすいのです。

2)目の矯正は大切です

4,5歳児の子どもがメガネをかけているのを見かけることがあります。この年齢の幼児のメガネは、ほとんどが視力を育てるためのメガネです。メガネは幼児の脳にしっかりと外の風景や物の形を伝えるために使います。

もしメガネを使わないと脳へ十分な情報が伝わらなくなり、脳のなかの見る部分の発達が遅れて視力は育たなくなります。これらの能力が育つのは子どものときが大切で、大人になってからは育ちません。

子どもの目の能力を健康に育てるためには、お父さん、お母さんの協力が必要です。ぜひとも、子どもの目の成長に注意してください。

3)心のストレスを「目」でうったえる子どもたち

体に問題がないのに学校に行く時間になるとおなかや頭が痛くなる。このような心にストレスが加わって起こる病気を「心身症」といいます。心身症は食欲不振・夜泣き・嘔吐・頻尿・動悸・登校拒否などの症状も起こします。

目では視力低下・視野(見える範囲)や色覚がおかしくなったり、瞬きが多くなったり、斜視などの症状もあらわれます。心身症による目のトラブルのピークは小学校高学年で、原因は受験戦争・いじめ・夫婦関係・親の性格・子どもの性格など、日常的なストレスの積み重ねで起こることが多いようです。

したがって、まわりの大人は子どもにストレスが加わっているとは考えにくく、ましてやストレスから目にトラブルが起こっているとは想像できません。

子どもは自分で解消できない心の悩みを目のトラブルを起こすことで、大人にアピールしようとしているようです。子どもの目の成長には体だけでなく、心のすこやかな発育もかかすことはできません。

4)子どもの眼とスポーツ

スポーツの時に見にくそうにしている、ボールがうまく取れない、よくつまずく子どもがいます。これらの子どもがみんな運動神経が悪いとは限りません。視力が悪いことが原因であることもあります。

視力は子どものスポーツ能力に影響を与えるために、子どもの視力を良くすることが子どものスポーツ能力を高める最も良い方法です。子どもの視力を向上させるにはメガネやコンタクトレンズを使います。

角膜矯正手術やオルソケラトロジー(コンタクトレンズの夜間装用)は、子どもの目の発達を守るために20歳未満では行わないように日本コンタクトレンズ学会のガイドラインで決められています。

5)学習障害児について

最近の文部科学省の調査が発表されました。そのなかで「全国の公立中学校の生徒の中で発達障害の可能性がある生徒が約61万3000人(全体の約6.5%)いるが、このなかで支援を受けているのは約38.6%にすぎない」と発表しています。

このようにわが国では多くの発達障害児がいると推定されていながら、その子どもたちへの取り組みは十分とはいえないようです。なかでも学習障害児は眼科的に問題のある子どもがいることから、えだがわ眼科クリニックは、発達障害児を支援している東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授(http://at2ed.jp/)と共同で学習障害児に対して新しい取り組みを始めています。