高齢者の目

高齢者になると目の病気が増えてきます。

最近とくに問題になっている病気は、「加齢性黄斑変性症・緑内障・糖尿病性網膜症」などで、これらは治療がおくれると目を健康な状態に戻すことが難しくなるので、早期に発見して治療を始めることが大切です。

わが国では今後高齢化社会になるにつれて、これらの病気の増加が予想されています。

1)加齢性黄斑変性症

視力に関係する黄斑部という部分が加齢によって異常な血管を生じる病気です。

この部分が障害されると、物が歪んで見えて視力が低下します。たばこや高血圧も関係するといわれています。

欧米では中途失明者の原因でもっとも多いもので、わが国でも最近多くなって、約70万人の人がかかっているといわれています。

2)緑内障

眼圧が高くなって起こる病気です。眼圧が高くなると視神経が障害されて、視野が徐々に欠けてきます。

治療を開始してもそれまでに欠けた視野は元に戻ることはありません。

また、加齢でも緑内障は起こります。とくに日本人では眼圧が正常で自覚症状がないままに進行する正常眼圧緑内障が多いといわれています。

この病気は眼圧の検査だけでは発見できないために、眼底検査や視野検査が必要です。40歳以上では20人に1人が緑内障といわれています。

3)糖尿病性網膜症

糖尿病が原因で網膜に変化が起こる病気です。糖尿病は網膜の血管に傷害を与えます。糖尿病が進むと網膜の変化が強くなり、眼底出血が起こり失明につながる危険性が高まります。わが国では糖尿病の増加に伴って糖尿病性網膜症が増加して、約166万人の人がかかっているといわれています。

4)白内障

白内障は目の中にある水晶体が濁ってくる病気です。多くは加齢ですが、一部は紫外線でも起こります。

白内障は手術で治療することができます。最近の白内障手術は手術技術の進歩で、以前よりも短時間で安全に手術が行われています。わが国では年間100万件もの白内障手術が行われています。